ケーススタディ

集客や営業につながる機能開発の進め方

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大手企業が事業を多角化する中、市場に強力なプレイヤーとして参入してきた場合、他の企業はどのようなポジションを取ればよいのでしょうか。実際の集客や営業につながるような機能開発の進め方について考えてみましょう。

ケース概要

 クライアントは、レジなどの店舗の会計システムを手掛けるメーカーです。大手一部上場企業が強力な競合として市場に参入してきたことで、業績が伸び悩んでいる状況でした。打ち手を模索する中での競合調査・分析が依頼内容でした。

差別化可能な機能を割り出す

競合分析では、まず同業他社の中からどこを競合とみなすべきかを選定します。そこから、顧客ターゲット層や企業全体の利益に対して占める競合商品の収益比率などをもとに、さらに競合と見なすべき企業を絞り込み、特に有力なプレイヤーを洗い出します。最終的な競合先を決定し、各社の商品について詳細を一覧にまとめ、図1のような競合シートを作成します。

競合調査におけるツール 競合調査

(図1 競合シート)

図1の競合シートをもとに、他社と差別化が可能な機能を割り出します。今回のケースでは、値引きシステム、顧客管理、予約管理、外部連携について差別化ができる、ないしはできていることが分かりました。しかし、これら四つの機能の開発に着手すればよいという判断は安易です。「他社と差別化を図るために開発すべき機能」なだけであって、肝心のお客様が重視している機能とは限らないからです。言い換えると、お客様が重視している機能の中で差別化できなければ、施策は効果がありません。また、お客様にとってそこまで必要のない機能まで全て開発すると、当然多大なコストが発生し、それに伴い価格も上昇するため、自社にとってもお客様にとっても負担が増加します。後述しますが、お客様が大切に感じている機能に集中的に投資することで、価格を抑えながらニーズに応えられるだけでなく、確実に市場におけるポジションの獲得につながっていきます。

お客様はそれを求めているか

差別化できる機能を捉えた上で、顧客へのヒアリングを行います。ニーズを明確に把握するためには、やはり、お客様にヒアリングする他ありません。既存顧客に対しては、現状の商品に備わっている中で「重宝している機能は何か」、「各機能に対しての満足度はどうか」、「(選択肢を設けて)新機能があるとすればどれが良いか」について調査します。また、可能であれば、他社製品を導入しているユーザーに対しても他社商品について既存顧客と同様のヒアリングを行います。

そして得られたデータを集計し、お客様が重視している機能を絞り込み、競合シートと照らし合わせることで、開発すべき機能が絞り込めるのです。

開発すべき機能の条件

(図2)

このようにして開発された機能は、競合と差別化ができている上に、お客様のニーズがあるため、必然的にお客様に対して高い訴求性があります。言い換えれば、この機能が集客や営業をしやすくする「シカケ」の役割を果たしているのです。つまり、有力な競合が出現しても、競合分析と顧客ニーズを捉えた上で、絞り込んだ差別化可能な領域に集中的に投資することで、そこが自社商品の特色となり、市場内ポジションの獲得につながるのです。

クライアントの期待値は高い

しかしながら市場調査や競合分析、顧客調査について、クライアント企業は、自分たちでも実行可能な領域でありながら、時間的なコストを削減するためのアウトソーシングであると捉えているケースが多いように思います。そのため、アウトプットに対するクライアント企業の期待水準も必然的に高くなります。したがって、依頼の背景や目的をくみ取り、アウトプットイメージを事前に共有することで、より短期間で高品質な納品をすることが求められます。

経営判断につながる調査や分析をアウトソーシングする場合、品質は極めて重要であるため、委託先は慎重に選ばなければならない一方で、コンサルティング会社に外注すると多大なコストが生じます。中堅・中小企業のアウトソーシング手段として、専門的な知見を持つ外部人財に重要度の高い分析業務等を委託する、クラウドサービスの利用がトレンドとなっています。

WRITER筆者

MBA JOURNEY 編集部