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経営企画部門

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経営企画部門の役割

経営企画部門の役割は、(a)企業経営、事業に関する情報の収集、メッセージの創出など、マネジメントの意思決定を支援すること、(b)事業部門における活動の最適化を支援すること、(c)マネジメントと事業部門の間をシームレスにつなぎ、迅速で精度の高い意思決定を支援すること、の三つである。

事業における主な「流れ」は、①商流(伝票の流れ)、②物流(ものの流れ)、③金流(お金の流れ)、④情報流(関連する情報の流れ)の4種類であるが、経営企画部門は、間接部門であるため、商品、伝票、お金を直接扱わず、対象とする「流れ」は「情報流」である。

情報流は他の流れと異なり、利活用する主体の意図により、その粒度、範囲、流れ自体が変化する。事業を取り巻く環境の変化により、マネジメントの意思決定する対象領域や事業部門の活動内容は変化する。それに合わせて、経営企画部門の活動内容も変化する。

経営企画における4つの活動タイプ

経営企画部門の活動タイプを、①事業ステージ、②経営企画部門の活動視点の二つの組織形態を用い、4分類で紹介する。

①組織形態

事業ステージは、意思決定までのスピードであり、意思決定までに時間的な余裕があるか、時間の余裕がないか、で分類する。ここでは、(Ⅰ)意思決定までに時間的猶予がなく、迅速な対応が求められる『変革期』、(Ⅱ)意思決定までに比較的時間があり、組織の協調、共働を重視する余裕がある『安定成長期』の二つとする。

経営企画部門の活動視点は、マネジメントの意思決定に関する情報である。マネジメントの意思決定に関する有効な情報が、現業を超えた全社視点で捉えるべき情報か、現業の領域内の部門視点で捉えるべき情報か、で分類する。ここでは、(A)経営企画部門が先頭に立ち、事業部門を引っ張っていく『全社視点』、(B)事業部門が先頭に立ち、経営企画部門は事業部門の活動を全社として取りまとめる『部門視点』の二つとする。

②活動タイプ

I-A『参謀型』変革期×全社視点

事業のライフサイクルが成熟期、衰退期など、変革を意識する企業体において、マネジメントの意思決定に有効な情報が現業を超えた全社視点で捉えるべき状況で有効なタイプである。
経営企画部門は、事業を超えた視点で情報収集、提言などに関わり、事業部門を先導する。

活動タイプ

I-A『伝達型』変革期×部門視点

事業のライフサイクルが成熟期、衰退期など、変革を意識する企業体において、マネジメントの意思決定に有効な情報が現業の領域内の部門視点で捉えるべき状況で有効なタイプである。
事業部門が、事業領域における情報収集、提言などに活動する。経営企画部門は、トップの意向と現場活動の整合性を担保する。事業部門が、現業と自らの変革の両方の視点を客観的にマネジメントできる場合にのみ有効である。

II-A『支援型』安定成長期×全社視点

事業のライフサイクルが成長期など、既存事業の延長での成長を意識する企業体において、マネジメントの意思決定に有効な情報が現業を超えた全社視点で捉えるべき状況で有効なタイプである。
経営企画部門は、事業を超えた視点で情報収集、提言などに関わり、事業部門(ミドル、ボトムなど)とは異なる視点から支援する。支援対象は、事業部門でなく、変革に向けたCFT(クロスファンクショナルチーム:機能横断型チーム)になることも多い。

II-B『取りまとめ型』安定成長期×部門視点

事業のライフサイクルが成長期など、既存事業の延長での成長を意識する企業体において、マネジメントの意思決定に有効な情報が現業の領域内の部門視点で捉えるべき状況で有効なタイプである。
事業部門が、事業領域における情報収集、提言などに活動する。経営企画部門は、現場活動を取りまとめ、トップに報告する。

経営企画における環境変化

多くの業界では、長期の安定的な成長期を経て、成熟期、衰退期を迎えている。事業のライフサイクルをベースに経営企画部門の活動変化を紹介する。

①安定成長期の活動

安定成長期では、多くの企業は環境変化の影響度を既存の事業の構造での許容範囲内、すなわち「既存の一貫性」の範囲内であると判断する。この時期の主な戦略は、バリューチェーンの個別機能、機能間連携の「強化」などである。この状況下では、マネジメントの意思決定に有効な多くの情報は、現業の領域内の部門視点で捉えるべき情報である。この戦略のもと、組織では、既存の事業の構造の生産性向上、効率化などの「成熟度の強化」を実施する。

安定成長期では、部門視点での「部分最適」が有効である。経営企画部門の活動のタイプは、『Ⅱ-B:取りまとめ型』であり、その実態傾向は『経営計画室』である。

②変革期の活動

変革期では、環境変化の影響度が既存の事業の構造の許容範囲を超え、「新たな戦略、組織の一貫性」を創出する必要がある。この時期の主な戦略は、新たな事業の構造の「創出」である。この状況下では、マネジメントの意思決定に有効な多くの情報は、現業を超えた全社視点で捉えるべき情報である。組織では、戦略に合わせた事業の仕組みの構築、移行など、「組織の再設計」である。

変革期では、全社視点での「全体最適」が有効である。経営企画部門の活動のタイプは『Ⅰ-A:参謀型』であり、その傾向は『経営企画室』である。

経営企画の循環サイクル

事業は、安定成長期、変革期の循環サイクルで進化する。循環サイクルの各フェーズで、経営企画部門の活動タイプも変化する。

安定成長期では事業部門主導の『Ⅱ-B:取りまとめ型』、変革期への準備として既存組織の壁を超える段階ではCFTの活動に対する『Ⅱ-A:支援型』、変革期が本格化する段階では自ら主体的に活動し、誘導すべく『Ⅰ-A:参謀型』である。その後、事業が変革期から安定成長期に発展した段階では、再び『Ⅱ-B:取りまとめ型』へと進化する。

従来の事業のライフサイクルは、長期にわたって緩やかに推移していたため、安定成長期が変革期と比較し、時間軸に占める割合が高かった。多くの企業では、主に「取りまとめ型」をベースにした組織設計が無意識下で実施されてきた。近年では、業界を超えた競争、競争ルール自体の変化など、変革期の事象が多く発生し、事業のライフサイクルも短命化し、その結果として変革期の占める割合が高くなっている。

安定成長期、変革期の時間比率が均等になり、従来プロジェクトで対応していた「支援型」「参謀型」の活動に関しても定常化すべく組織設計が必要となる。

環境の変化を機会と捉え、最適なタイミングで「取りまとめ型」「支援型」「参謀型」を選択、循環サイクルをマネジメントすることが有効である。

経営企画の循環サイクル

あるべき姿

経営企画部門が期待されている役割として、①情報流における主体的な立場、②あるべき組織を設計し、実装する立場、の二つを紹介する。

①情報流における主体的な立場

活動の循環サイクルを前提に組織設計を強化することが必要である。具体的には、「取りまとめ型」から「支援型」「参謀型」への流れの強化である。

この流れにおいて、マネジメントの意思決定に有効な情報は、現業の領域内の部門視点で捉えるべき状態から、現業を超えた全社視点で捉えるべき状態も視野に入れたものに変化する。経営企画部門は、事業を超えた短期、中長期的な視点から主体的に情報収集、提言に関わり、自らの意図をもとに事業部門を先導することが期待されている。「経営計画室」から「経営企画室」への変化である。

②あるべき組織を設計し、実装する立場

安定成長期の「取りまとめ型」の組織設計に加え、変革期の循環サイクルまでを範囲とする「支援型」「参謀型」の組織を設計した結果、事業のライフサイクルを鑑み、最適な「あるべき組織」を選択、実装する必要がある。経営企画部門は、この機能を担うことを期待される。「全社視点での参謀」への変化である。

③あるべき姿の実現に向けて

経営企画部門のあるべき姿は、①情報流の取りまとめではなく、「取りまとめ型」「支援型」「参謀型」の三つの組織設計を強化すること、②循環サイクルに応じて、バランス良く、これら三つの組織設計から最適なものを選択し、実装すること、の二つである。

多くの企業では、従来から時間比率の高かった、安定成長期の「取りまとめ型」の組織設計しか存在していない。変革期における組織は、例外と位置づけられ、プロジェクトとして実行してきた。このため、これら関連領域における経験機会が少なく、社内にナレッジが蓄積されていないことが多く、活動の精度面、スピード面の強化がポイントである。

まとめ

事業のライフサイクルをベースに、経営企画部門は「取りまとめ型」「支援型」「参謀型」の三つの型を強化する必要がある。「支援型」「参謀型」では、経営企画部門は、事業を超えた視点で情報収集、提言などに関わり、事業部門を先導すべく、経営計画室から経営企画室へと役割が変化する。安定成長期と変革期の役割を鑑み、最適な組織設計をすべく、「全社視点での参謀」の役割が期待される。

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WRITER筆者

MBA JOURNEY 編集部