ケーススタディ

採用領域のプロジェクトに求められるコンサルティング

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就職活動やキャリアについて、学生側の意識や情報感度が高まる中で、新卒採用の優秀人財獲得競争は熾烈さを増しています。そのような背景から、人事・採用領域のコンサルティングのご依頼をいただく頻度が数年前より格段に多くなっています。クライアントの「採用力」を本質的に向上させるためのコンサルティングとして、何が求められるのでしょうか。

 クライアントは、ターゲットに対して効果的なアプローチができているか

ケース概要:

中堅の日系メーカーA社は、今後アジア圏への進出を視野に、グローバル人財をターゲットとしています。説明会や社員との座談会などイベントへ参加する学生は、次工程のインターンシップへ応募する率が極めて高くなっています。その後、インターンシップ参加後、企業の選考に残った学生は9割近くが本選考に応募してきます。A社を認知し興味を抱き、接点を持った学生からは、志望先として確率が高くなることがデータからわかりました。一方で、ターゲットの対象となる層からの認知度は低く、そもそも集客の段階であまり接点が持てていないという状況が明らかになりました。

インターンシップの内容を、従来のコア業務の疑似体験型から、海外の案件を取り扱いながら英語主体で進める新規事業策定の実践型に変更するなど、ターゲット層の応募増加を狙い、コンテンツにフォーカスしていました。

コンサルタントの視点:

しかし、東京大学をはじめ、国内難関大学の学生らにヒアリングを行った結果、どのインターンシップに参加するか、どこの企業が実施する就活コンテンツに参加するかの主な選定軸は「目に見えるメリットがあるか否か」でした。具体的には、①知名度があり、その企業のインターンシップに参加したという実績に価値がある、いわゆる箔付けの効果があること、②内定直結や特別選考ルートが用意されておりその後の活動のために時間を有効的に活用できること、③報酬や対価が支払われることなどでした。

したがって、今回のケースの場合は、人事戦略としてコンテンツの考案以上に、集客施策の見直しが必要でした。ターゲット層との接点を持つために、企業側が受け身になっているのではなく、紹介やつてをたどって出会う場を創り出し、その上で、目に見えるメリットとして特別選考ルートを用意することで、参加意欲が高まります。

具体的には、ダイレクトリクルーティングの集客構造を中期的に確立していくために、リファラル採用の導入と内定直結型の幹部候補特別選考ルートを設計し、クライアントにご提案しました。

(リファラル採用:社員に人財を紹介・推薦してもらう採用手法のことです。社員の個人的なつながりを活用することで自社の魅力や社風をターゲットとなる人財に効果的に伝え、企業文化とマッチした人財を集めることができる点、その結果、採用した人財の離職率が低い点が利点として挙げられます)

提案に当たって 

年々、クライアントから採用領域のご依頼が増加しています。

採用ターゲットや課題を抱える採用フェーズは、十社十様に異なるため、採用力向上のために、施策の考案のみならず、人事組織編成の見直し、評価制度の見直しなどに発展し、前述のA社のケース以上にマクロ的なコンサルティングが必要となる案件もあります。

しかし、どの案件にも共通することは、採用プロジェクトは、「今年の採用がうまくいく」だけではなく、来季以降も継続可能な「仕組み」としての施策を提案することです。提案内容や提案施策が刹那的なものではなく、人事戦略や体制がクライアントに資産として残るような提案が極めて重要となります。

数字やデータといった「定量面」の分析は不可欠ですが、それ以上にヒアリングを重ね、経営理念や社員の想い、社内風土や雰囲気など、クライアントの「定性面」にも目を向けることが大切です。

まとめ

「企業は人なり」という言葉があるように、経営資源の中でも「人」というリソースは最重要であり、人財不足の時代に突入していく現代社会において、「目的の人を呼べる」、「ターゲットを集客・採用できる」ことは極めて重宝されるスキルの一つです。人財の獲得を目的としたコンサルティングの需要は今後増加していくことが見込まれ、採用の仕組みを創り出せるコンサルティングスキルを持つ人財の市場価値は青天井の時代となっています。

WRITER筆者

MBA JOURNEY 編集部