事例・特集

<変革の舞台裏 ケース7> 機能別組織から事業部別組織への移行(後編)

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本シリーズでは、変革を推進する上でハードルとなるさまざまな課題についてケーススタディを通じて具体的に検証し、解決の方向性を探っていきます。前編では会社の状況について説明し、後編で課題解決と対策の方向性をお伝えします。前編をまだ読んでいない方は、まずは前編からどうぞ。

生産性を追求する組織 VS 顧客ソリューションを追求する組織

~ いかにして連携可能な組織を構築するか ~

登場人物&サマリー

現状の整理

柊電気工業における従来の機能別組織は、「供給の最大化」を目的とした組織であった。一方、市場における需給バランスの悪化に伴い改編した事業部別組織は、「需要の最大化」を目的とした組織である。目的が全く異なる組織改編であるがゆえ、このような対立が起こることは多々ある。また、いきなり全機能を事業部に切り分けられないため、移行期間として一部マトリックス組織を作って対応するケースも多い。同社においては、平田取締役がこれまでの機能と新組織をつなぐ役割を果たしていたが、逆にコミュニケーションが複雑化し、不具合を起こしている面もあった。

事業部別組織を機能させる上でのポイント

柊電気工業が新たな組織体制を機能させていくためには、以下の点について考慮しながら改革を行うことが必要と想定される。

①組織として新たな目標に進むための体制整備

変革のファーストステップとして、これまでと同じ組織体制では企業の存続が危ぶまれることを、全社員が共通の危機感として認識することが必要である。同社では、おそらく営業部門以外では、今の市場環境はどうか、競合の動向はどうかなど、認識していないメンバーが多いであろう。新組織ではさまざまな社員の積極的な協力が必要であるが、現状、協力をするための正しいモチベーションが持てていないように見受けられる。変革の必要性を全社員が理解することがスタートとなる。

これと合わせ、事業部として共通の目標設定が必要である。各ターゲットに対し、どのような戦略で商品を提供していくのかを共有する。そして、目標に合わせ評価制度を最適化する。新商品開発が重点目標なのであれば、新たな評価項目の設定や評価ウエイトの変更が必要となる。ただし、従来通り生産性重視の部門も存在することなども踏まえ、事業部に応じて最適化できる制度が必要となる。

ここまでベースを整えたら、業績改善のためのアクションプラン設計に入っていく。

②中長期的成果を獲得するための戦略策定・実行

機能別組織から事業部別組織に変更し、一社一社への対応力を高めていこうとした場合、基本的には当初、現場における活動効率は低下してしまう。顧客の現場に行く機会を増やし、潜在ニーズをつかむといった活動に時間を使うため、それは当然のことである。しかし、それらの活動を通して、提供できるソリューションの幅を広げたり、提案単価を高めることで収益増を狙うことが、組織改編における目的となる。そのための戦略策定と実行が大切となる。

柊電気工業においては、そのために、新商品開発に注力していた。実現できれば、収益改善につながる可能性が高い。ただし、その際に注意が必要なことは、成果が出るまでには時間がかかるという点である。そうは言っても、業績改善までに時間がかかりすぎてしまうと、改革は失敗と判断され、改革が頓挫するリスクが高まる。そうならないためには、短期的に業績に直結する施策を別に立てていくことが必要となる。

③短期的成果を獲得するための戦略策定・実行

機能別組織から事業部別組織に切り替わる際には、顧客別アカウントプランをいかにマネジメントしていくかが、短期的成果を獲得する鍵となるケースが多い。というのも、機能別組織においては、一企業に向けて製品A・B・Cを別々の部門から提供しており、各企業に対して最適な提案ができていないケースが多いためである(製品Aは導入済だが、製品Cは未案内など)。組織改編をしても、機会ロスがすぐなくなるわけではない。さまざまな強みを持ったメンバーが協力する仕組みを作ることが必要となる。そこで行うべきは、アカウントプランの作成である。

アカウントプラン例

既存顧客の中で、クロスセルにより短期で売上拡大が見込めそうなターゲットを設定し、アカウントマネージャーを設定する。そして、顧客ごとの経営課題、人脈攻略状況、想定ニーズなどをまとめたプランを作成し、メンバー間で議論を行う体制を作る。これだけでも、従来実現できなかった横の連携が強化され、短期成果につながるケースも多い。組織改編をしたからこそ実現できる短期成果を築くことが、変革初期には重要となる。組織変革のステップ

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WRITER筆者

MBA CROWDSOURCING 編集部