事例・特集

<変革の舞台裏 ケース7> 機能別組織から事業部別組織への移行(前編)

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本シリーズでは、変革を推進する上でハードルとなるさまざまな課題についてケーススタディを通じて具体的に検証し、解決の方向性を探っていきます。前編では会社の状況について説明し、後編で課題解決と対策の方向性をお伝えします。

生産性を追求する組織 VS 顧客ソリューションを追求する組織

~ いかにして連携可能な組織を構築するか ~

登場人物&サマリー

 

技術・製造部門における生産性を重視する平田取締役

「組織が変わってから、本当に無駄な仕事が増えた。営業がお客様から要望をいただくようになり、技術開発のテストをたくさん行っているが、本当にこれは意味があるのだろうか? 貴重な技術スタッフの時間を使って、製造部門の稼働率は下がる一方で、業績のさらなる悪化をもたらさないだろうか…」取締役の平田清吾は深くため息をついた。

柊電気工業においては、これまで一つであった技術・製造部門を、まずは技術部門のみ切り離し、営業部門と合わせて、事業部別組織に設置した。

しかし、各事業部責任者は営業出身で、技術に関する知見を持ったメンバーは少ないため、技術部門の統括として、平田が全体を見るという体制を取っていたのである。

「これまでは俺がすべて監督していたから、技術部門も製造部門も、最も効率が良い形で展開できてきたが、俺が見なくなった途端にこれだからな。営業は製造側のことは何もわかっちゃいない。全体の受注が落ちて、工場の稼働にまで空きを出してしまっているわけだから、どうしようもない…」

過去ずっと成長軌道に乗ってきた同社では、工場の稼働率を高め、生産性を最大化することを重視してきたところから、急な方針転換に、取締役のみならず現場の技術スタッフにおいても混乱をきたしていた。営業から言われたことをこなさなくてはいけない一方、生産性も高めないといけない。取締役と事業部長から言われることが違うがゆえ、混乱するメンバーも多数存在した。

顧客対応を重視する町田事業部長

「平田取締役のおっしゃることは、正しいところもあるが、もう組織は変わったんだ。今、お客様からはさまざまな要望がある。既存商品だけではお客様のニーズに応えられなくなってきているわけだから、少しくらい生産性を低下させたとしても、お客様の要望に応えることが先決だ」医療機器事業部長の町田圭太は、こうつぶやいた。

これまでも、顧客からはさまざまな新商品開発のニーズなどはあったが、工場の稼働率が限界であるがゆえに、営業スタッフは、一定基準以上の案件以外は断ってきた。しかし今回の組織改編を機に、何でも要望に答えるという内容をお客様にもメッセージとして発信し、営業スタッフがさまざまなニーズを拾ってくるという体制を取るようにした。営業スタッフ自体も、これまではどちらかというと既存商品の発注、納品がメイン業務であったため、顧客のニーズを探るということには、手探り状態で取り組んでいたのであった。

「今は、少しくらい売上を落としてでも、お客様のニーズに答えることに注力すべきだ。お客様の要望に応えてさえいれば、いつかは売上が上がるはずだ。あと2年、3年はやってみないと、うまくいくかどうかはわからないさ…」

営業部門においては、これまでそれぞれ違う製品を扱う営業スタッフが同じ医療機器事業部に配属されたが、自分の知らない領域の製品についても知識が求められるようになり、混乱をきたしている状態であった。

まとめ

技術・製造の生産性を重視する平田取締役と顧客対応を重視する町田事業部長の製販における対立関係が描かれている。機能別組織から事業部別組織に移行した場合によく発生しがちな製販の対立関係を解決する課題と方向性について後編で深掘りする。

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WRITER筆者

MBA CROWDSOURCING 編集部