事例・特集

<変革の舞台裏 ケース6> 2大営業派閥による争い(後編)

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本シリーズでは、変革を推進する上でハードルとなるさまざまな課題についてケーススタディを通じて具体的に検証し、解決の方向性を探っていきます。前編では会社の状況について説明し、後編で課題解決と対策の方向性をお伝えします。前編をまだ読んでいない方は、まずは前編からどうぞ。

営業活動量の追求 VS 提案の質の追求

~ 商品ライフサイクルに適したセールス体制をいかにして構築するか ~

登場人物&サマリー

現状の整理

村越取締役の「活動量重視」の方針と、上原部長の「提案の質重視」の方針でぶつかってしまっているが、これは多くの会社でよく起こるケースである。このような対立が起こる要因は明確で、扱う商品のライフサイクルによって、求められる営業スタイルが異なってくるからである。取締役が活躍していた時代は、市場が成長期であり、とにかく活動量を増やしていくことで、売上を伸ばすことができた。一方、上原部長がプレイヤーとして活躍した時代は成熟期であるため、競合からのシェア奪取が求められ、提案の質を重視することで売上を伸ばすことができたのである。

プロダクトサイクル

組織変革を実現する上での三つのポイント

以上の状況を踏まえ、以下の点について考慮しながら、営業組織の変革戦略を立てていくことが、今の家安産業に求められると想定される。

①各商品を取り巻く事業環境から、求められる営業手法を把握する

扱う商品を取り巻く事業環境を踏まえると、求められる戦略も、営業手法も変わってくる。今、自社がどのような環境下におり、顧客からどのような営業が求められるかを押さえることがファーストステップである。

②戦略、仕組み、組織、人財における現状を把握する

現状の仕組み

次に行うべきは、自社を取り巻く環境に沿って、自社の営業戦略、仕組みや組織体制、人財タイプやスキルが一貫したものとなっているかを確認することである。人財タイプ一つを取ってみても、成長期に活躍できるセールスと成熟期に活躍できるセールスとでは、求められるものが異なってくるのである。なお、この際に気を付けなくてはならない点は、求められる営業スタイルは、同じ事業部内であっても、扱う商品によって違ってくる可能性もあることだ。まだまだ成長市場である商品Aと、成熟期に入った商品Bを同時に扱う場合、それぞれに求められる営業の要諦は異なるのである。これらを正しく現状把握することが第二のステップとなる。

③新需要創造期におけるインサイトセールスを実現するための可能性模索

最後に検討しなくてはならないことは、今、多くの日本企業が陥っているであろう、新需要創造期への対応である。現在の家安産業においては、上原部長が推進する、成熟期に求められる営業体制を構築するだけでは不十分であった。実際、同社の商品のライフサイクルはすでに衰退期に入ってきており、これまでとはまた違う営業スタイルが求められている可能性が高い。衰退期においては顧客から新たな需要を創造することが必要であるため、競合他社との争いよりも、よりお客様に寄り添い、これまでお客様が気づかなかったような潜在ニーズを探る必要がある。そのためには、準備を入念に行うこと以上に、より創造性を追求したセールス体制が求められる。例えば、営業担当1名だけではなく、違うスペシャリティを持ったメンバーが2名以上のペアになって顧客を訪問し、これまでになかった可能性を見出していく対応や、既存顧客へアカウントマネージャーを設定し、部門横断的な対応を実現するなど、より創造性を重視した体制へと切り替える必要がある。現在、日本企業における多くの事業は、すでに衰退期に入っており、新需要を創出しなければいけないフェーズに来ている。それにもかかわらず、いまだに成長期に求められるセールスを展開しているがゆえに、状況を打破できずにいるケースが多く見受けられる。衰退期においては、営業活動量でも提案の質でもなく、新需要を創造するための組織体制を整備し直すとともに、営業担当者のマインドとスキルも変革していくことが必要となる。

まとめ

相手との人間関係を深めることを重視する取締役と生産性を高めるための提案力を重視する営業部長の思いが激突する。新旧の営業スタイルの違いからよく発生しがちなこのような問題を解決する課題と方向性について後編で深掘りする。

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WRITER筆者

MBA CROWDSOURCING 編集部