事例・特集

<変革の舞台裏 ケース6> 2大営業派閥による争い(前編)

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本シリーズでは、変革を推進する上でハードルとなるさまざまな課題についてケーススタディを通じて具体的に検証し、解決の方向性を探っていきます。前編では会社の状況について説明し、後編で課題解決と対策の方向性をお伝えします。

営業活動量の追求 VS 提案の質の追求

~ 商品ライフサイクルに適したセールス体制をいかにして構築するか ~

登場人物&サマリー

 

人間関係を重視する取締役

「営業は、相手との人間関係をどれだけ深められるかが大切だ。そのためには、とにかく相手と接点を持つ量を増やすしかない。社内でよくわからない準備をするくらいなら、どんどんアポイントを取って、多くのお客様と会ったほうがよい。うちの商品に対してニーズがあるお客様は必ずどこかにいるはずだ」

取締役の村越は、コーヒーを飲みながらため息をつく。村越は、競合他社の商品と技術面で差別化ができなくなった今だからこそ、人間関係を重視し、次なる要望を伺ってくる営業が大切だと考えていたのである。

「この前、若手の営業担当者にも同席をしたが、全然なっていなかった。人間関係を築くことに意識すらない。面談のはじめから、いきなり商品説明に入るやつがあるものか。採用の仕方から間違っているんじゃないだろうか。まったく、営業部長は何をやっているんだ・・・」

営業部長の上原に引き継いだ後もなかなか業績が改善しない中、しびれを切らした村越は、営業の現場に足を運び、個別で指導を行っていた。「昔はな・・・」と、過去の武勇伝を語ることも多く、それが現場の営業担当者にプラス面に働く場合もあるが、逆に現場から少し面倒がられてしまうこともあった。取締役は、人間関係を高めるための訪問量が全社的に少ないことが何よりの課題だと考えており、社内準備などの無駄な業務を減らし、外に出る時間を増やすよう、指導を行っていた。

商品力を重視する部長

「取締役のおっしゃることは、正しいところもあるが、ちょっと時代遅れではないか。人間関係を高めることはもちろん大切だが、今の時代、それをいくらやっても商品は売れない。取締役の時代とは違う・・・。競合がたくさんいるわけだから、人間関係より、提案力をもっともっと高めるべきだ」

営業部長の上原は、部下と移動をしながら、愚痴をこぼした。上原は前職時代、異業種で競合他社との争いを散々してきながら成果を上げてきたため、そのやり方が、今の家安産業に求められるのではないかと確信していた。

「営業の生産性を高めるためには、活動量より、1回、1回の提案が大切だ。競合との差を調べ抜いて、その差をしっかりと伝えられるよう資料にまとめて、質の高い提案をしていかないと契約は決まらない。活動量は少し抑えたとしても、提案の質を高めていくことこそが、営業生産性の向上につながるはずだ。もっともっと、メンバーの提案力を高めていかないといけない」

営業部長の上原はこのような方針で、かなり多くの時間を使って、提案力強化や競合商品知識習得のための勉強会などを実施していた。しかし、一定の営業力向上は見られるものの、売上の改善にはまだつながっていないのが現状であった。上原も、自分のやり方を貫く方針を示してはいるが、なかなか業績が改善しないことにもどかしさを感じていた。

まとめ

相手との人間関係を深めることを重視する取締役と生産性を高めるための提案力を重視する営業部長の思いが激突する。新旧の営業スタイルの違いからよく発生しがちなこのような問題を解決する課題と方向性について後編で深掘りする。

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WRITER筆者

MBA CROWDSOURCING 編集部