事例・特集

<変革の舞台裏 ケース5> 商品企画部との連携に悩む海外販売責任者の苦悩(前編)

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本シリーズでは、変革を推進する上でハードルとなるさまざまな課題についてケーススタディを通じて具体的に検証し、解決の方向性を探っていきます。前編では会社の状況について説明し、後編で課題解決と対策の方向性をお伝えします。

低価格商品を販売したい海外販売部 VS 高価格商品の開発を続ける商品企画部

~ 差別化商品の海外展開をいかにして実現するか~

登場人物&サマリー

売上目標達成に悩む海外販売部部長

「今年度も、売上目標は未達成か…」

碇工業の主力製品の海外販売責任者である松尾は、頭を抱えていた。

「今販売している商品は、やはり海外マーケットでボリュームを確保することは難しい。高い付加価値があるとはいっても、日本国内と違い、海外でそれを求める企業は少ないのが実情だ。この1年間の受注案件を分析してみても、競合した場合ほとんどのケースで負けてしまっている。競合企業は、最低限の付加価値でコストを最低限にしているわけだから、わが社もコスト競争力のある商品を作れば、まだまだ売上は伸びるはずだ」

碇工業は、これまで安定的な売上成長を実現してきており、成長率を維持するため、海外においては毎年20%以上の売上成長目標を掲げていた。部長の松尾は、毎年毎年高くなる目標に対して、四苦八苦していたのである。

「実際、うちの商品は性能が他社商品と比較して良いとはいっても、正直、現場では求められていないケースが多い。いざコンペとなると、どうしても価格競争になってしまう。うちの技術があれば、価格競争力のある商品は作れるはずだから、もっと何とかならないものか…」

高価格商品の開発を続ける商品企画部部長

「松尾部長は、うちの技術のことを全然分かっていない…」

部下と昼食を取り終えた後、カフェでコーヒーを飲みながら、木下はため息をつく。

「うちは、技術力を強みとして成長してきた企業だ。海外展開する際にも、技術力をベースとしていくのがセオリーだ。なのに、商品が悪いだの何だの言って、営業は言い訳ばかり。正直、うちの技術を深く理解していない営業スタッフも多い。もっとちゃんとうちの技術のことをアピールしてくれれば、いくらでも競合に勝つことができるはずなのに…」

商品企画部においては、売上目標達成に対する責任はないものの、企画した商品の販売が低調なことに対して、不安を感じていた。実際に商品企画部においては、数ある競合商品を徹底的に比較し、重要となるスペック面ではどの商品よりも差別化ができる商品を開発していた。コスト面でも、競合と比較してそこまで大幅なコストアップはしないような商品を開発していたのである。

「そもそも、売上成長ばかりを求めても、意味がない。売上高は小さいかもしれないけど、営業利益はしっかりと出ている。低価格商品を作れないことはないけれど、利益率が大幅に低下するため、今の何倍もの量を販売しないと、おそらく利益を確保することができない。うちは技術を大切にしている企業なのだから、うちの技術を買ってくれるお客様だけを相手にしていたら、十分じゃないか…」

まとめ

価格競争力のある低価格商品を海外で販売したい海外販売部部長と高機能商品で他社と差別化を図りたい商品企画部長の思いが交錯する。販売部門と商品企画部門でよく発生しがちなこのような問題を解決する課題と方向性について後編で深掘りする。

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WRITER筆者

MBA CROWDSOURCING 編集部