事例・特集

<変革の舞台裏 ケース4> 営業改革に取り組む営業企画部長の苦悩(後編)

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本シリーズでは、変革を推進する上でハードルとなるさまざまな課題についてケーススタディを通じて具体的に検証し、解決の方向性を探っていきます。前編では会社の状況について説明し、後編で課題解決と対策の方向性をお伝えします。前編をまだ読んでいない方は、まずは前編からどうぞ。

変革を実現したい営業企画 VS 既存クライアントを重視する営業担当

~ 新たなターゲット顧客開拓にいかにシフトするか ~

登場人物&サマリー

現状の整理

顧客をランクに分けて管理し、重点顧客ターゲットにリソースを集中したい営業企画と、既存顧客対応に追われる営業現場。よく発生しがちな問題であるが、同社では以下のような状況に陥っていた。

営業企画部門による方針

組織変革を阻むハードル

同社におけるハードルとしてまず考えられることは、営業担当の心理的ハードルである。現場レベルでは顧客関係性を重視し、かつそれを過大評価し、自身でないと関係性は維持できないと考えるため、既存顧客対応へのリソースを減らすという決断はしにくい。また、既存顧客からの売上が落ちることに対する不安もある。ただ一方、このようなケースでそれ以上に注意しなくてはならないのは、上位の顧客ターゲット層においては、競争環境が激化するという点である。これまで対象としてきた中堅企業マーケットでは、競合が少ないか、強い競合が存在しなかったというケースが多いが、上位層がターゲットとなると、競合他社のレベルも高く、すでに長い付き合いが発生している可能性も高い。

このような状況下で提案型営業を進めようとしても、競合からの切り替えに際しスイッチングコストが発生するため、相応のメリットがないと切り替えには至らない。同社の扱うWEBシステムは、特にこの傾向が強いと想定される。一部のトップセールスがうまくいっているとはいっても、先行者利益で入り込めただけだった可能性もある。むやみに新ターゲットを攻めても変革は進みにくい。

変革を推進するためのステップ

そこで考えるべきは、新ターゲットを攻略するための「切込商品」の存在である。切込商品とは、未取引企業に対し、自社との取引口座を開拓するためにフックとなる商品のことである。競合他社が多数提供する「シェア奪取型商品」ではなく、他社が提供しない、顧客の潜在ニーズに応える「需要創造型商品」であることが理想である。この武器があると、競合との比較にならず、スムーズに導入を頂ける可能性が高い。まずはターゲットの口座を開き、担当者と人間関係を築きながら、本命商品の切り替えを狙うシナリオである。

以上を踏まえると、以下のような変革ステップが一つのアプローチとして考えられる。

①切込商品とターゲットセグメントの設定

切込商品となり得る商品と、潜在ニーズがあると想定されるターゲットを選定することがファーストステップとなる(場合によっては切込商品の開発からスタート)。

②需要創造型商品のための営業手法確立

これまで御用聞き営業をしてきた営業スタッフが、いきなり需要創造型商品を販売しようとすると失敗する可能性が高い。相手の要望を伺う営業から、相手の潜在ニーズを引き出す営業に変わるからである。需要創造型の営業手法を習得するため、徹底的なトレーニングが必要となる。

③営業担当の心理ハードルの解除

最後に、営業担当の心理ハードルを解除することが求められる。やるべきことはいくつかあるが、特に重要となるのは、対応のリソースを変える顧客の選定と対応を、トップダウンで進めることである。同社では、これまで御用聞き営業に徹してきたスタッフが多く、クライアント企業の言いなりになっている可能性も高い。その関係性で、現担当から若手に対応をシフトチェンジするという依頼は切り出しにくい可能性が高い。本人対応でなく、組織的な対応が求められるのである。

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WRITER筆者

MBA CROWDSOURCING 編集部