事例・特集

<変革の舞台裏 ケース4> 営業改革に取り組む営業企画部長の苦悩(前編)

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本シリーズでは、変革を推進する上でハードルとなるさまざまな課題についてケーススタディを通じて具体的に検証し、解決の方向性を探っていきます。前編では会社の状況について説明し、後編で課題解決と対策の方向性をお伝えします。

変革を実現したい営業企画 VS 既存クライアントを重視する営業担当

~ 新たなターゲット顧客開拓にいかにシフトするか ~

登場人物&サマリー

企画推進に悩む営業企画本部長

「営業の現場は、この半年間、結局何も変わっていない…」

営業企画本部長の大野は、副本部長と酒を飲みながら話す。

「今回の方針を全体会議で広報してから約半年経ったが、この半年の実績を分析してみても、それほど顧客構成は変わっていない。実際に数字を見てみると、むなしいものだ」。

同社では、準大手企業を攻略するため、カスタマイズサービスのパンフレットを作り、ターゲットとする企業も決め、リストを渡していた。また、営業スタッフ1人当たりが抱える既存顧客数も非常に多く、対応で忙しいことも分かっていたため、それを軽減できるように新人営業スタッフも積極的に採用していた。

「実際に今、営業スタッフがやっていることは、御用聞き営業に過ぎないですね。ただお客様から要望を伺い、技術部門へ対応の依頼を出しているだけ。そんな仕事だったら、新人営業スタッフでもできるはずですよ。力のあるスタッフが多いわけだから、準大手企業向けに、提案営業をもっとやっていけるはずなのですが…」

副本部長もため息をつきながら話した。彼らの企画はこの半年間、うまく推進されておらず、準大手企業向けに実績を上げているメンバーは、以前のままごく一部に限られてしまっていたのであった。

過去のクライアント対応を重視する営業部長

「大野本部長は、現場のことを全然分かっていない。もともと、営業出身の方のはずなのに、企画の仕事ばかりしていると、こうなってしまうものなのか…」

部下の同行営業を終え、コーヒーを一杯飲みながら、野田はため息をつく。

「確かに今、私が抱えているクライアントでも昔と比べて売上が少ない企業はあるが、昔ほどネットに広告宣伝費を使わなくなったから仕方ない。ただ、以前会社が苦しかったときに支えてくれたお客様だし、ないがしろにするわけにはいかない。もちろん、お客様のランクを分ける重要性は理解しているし、そうしたいのは山々だが、現実は違う…」

現場の最前線で動いている部下も、うなずきながら話す。

「そうですよね。確かに、これから規模の大きな企業を攻略しなくてはいけないのは分かっていますが、実際のところ、既存のお客様からもたくさん仕事は頂いているわけですし、うちへのロイヤリティもあるわけだから、放っておいてもどんどん依頼が来ます。確かに1件当たりの売上は小さいかもしれないですが、付き合いの長いお客様ですし、しっかり対応しないといけない。その対応だけであっという間に一週間が過ぎてしまいます。若手スタッフを増やしてくれたことはうれしいですが、いきなりすべては任せられないですね。長い付き合いがあるので、私に依頼が来てしまいますし。私でないと対応できないと思うんです」。

実際、現場スタッフは既存顧客の対応に追われ、残業が常態化し、手一杯の状況であった。また、マネージャー層もプレイングマネージャーとして自身の顧客を多数抱えているため、同様の傾向にあった。

「それに、私たち中堅メンバーのレベルで言うと、準大手向けにカスタマイズサービスを提案できる力は、実際のところ十分とは言えません。本部からやれと言われても、どうやったらいいのか、分かっていないのが現状です。攻略が得意な石澤課長にやり方を教わろうとはしていますが、なかなか難しくて…。それに、結局営業は売上で評価されるわけですから、今のお客様からの売上がなくなるのも怖いですし」。

野田は部下の言葉にうなずいた後、次の商談の準備に話題を移した。

まとめ

顧客をランクに分けて管理し、重点顧客管理ターゲットにリソースを集中したい営業企画と、既存顧客対応に追われる営業現場。営業部門でよく発生しがちなこうした問題を解決する課題と方向性について後編で深掘りする。

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WRITER筆者

MBA CROWDSOURCING 編集部