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【第3回】経営戦略としての紹介営業 <全4回特集>

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今回の特集では、顧客満足を新規顧客の獲得と企業の収益向上につなげるCRV(Customer Recommendation & Referral Value)に注目します。CS向上が企業の収益につながるのであれば、会社としてCS向上に集中でき、CSを上げることで利益が上がる素晴らしい経営を実現することができます。「経営戦略としての紹介営業」をテーマに全4回に分けて紹介します。今回はその第3回です。

なぜ、顧客満足度向上活動は十分な成果を得られないのか

CRV(顧客紹介・口コミ価値)を推進していく上で、問題になってくるものの一つが時間です。日本企業はバブル崩壊、リーマンショックなどを経て、人財採用についてはかなり保守的になっています。企業が成長していたときには、数年後の売上向上を予測して、現在の業務を行うより多くの人財を採用していました。そのため、現場にも余力があったのです。

しかし、市場が成熟していく中での企業の方向性は「兼任」でした。なるべく人を増やすことなく、今いる人財で業務を行えるようにしてきました。結果として、何か新しいことをしようとしても、現場の余力がないことが多いのです。特に、中堅・中小企業ではその特徴は顕著で、避けて通れない問題です。多くの顧客満足度向上活動がうまくいかないのは、この限られた時間というハードルを考えることなく、施策として行おうとしてしまうことから生じています。

その問題を解決していく上で、以下の文章では2つの対策を紹介したいと思います。

一つ目は、「紹介活動の対象者を絞り込むこと」

CRV(顧客紹介・口コミ価値)を推進する上で、一番陥りやすい問題点は、「明日から、紹介活動を推進するから全顧客にアプローチするように」という全社方針です。しかし実際は、紹介してくれる顧客は、全体の中の一部です。会社に言われて活動するものの、現場は紹介を頂ける成果イメージもないまま、「会社に言われて活動しています」という雰囲気が前面に出てしまいます。結果、全社紹介活動は失敗に終わり、経営者、現場の社員にも失敗経験だけが残るという残念な結果になってしまいます。対策として、CRV(顧客紹介・口コミ価値)を成功させるためには、対象者の絞り込みが非常に大切になってきます。

対象者の絞り込みの事例として、下の顧客をランク分けしたイメージ図を見てください。ランク分けのポイントは、顧客の「過去の紹介実績」や「推奨意思の有無」を非常に重要視することです。その2つの要素を考慮した上で、総合満足度が高いかどうかを見ていく形になります。

顧客のランク分けイメージ

顧客満足度より紹介実績や推奨意思の方が重要になる理由は、紹介という活動には、顧客にとっていろいろな不安が伴うからです。例えば、紹介した方が迷惑に感じるのではないだろうかというのは、皆さんも想像がつく不安だと思います。さらには、まだ悩んでいる方を紹介しても、忙しい営業の方に迷惑をかけるのではないだろうかと感じる方もいるでしょう。以上に限らず、さまざまな不安要素があるため、紹介をした実績がある方や、紹介に対してあまりマイナスイメージがない推奨意思が高い方のほうが、活動の対象として優先順位が高くなります。

二つ目は、「紹介活動を行う顧客とのコンタクトポイントを絞り込むこと」

先ほども説明したように、「兼任」が求められる職場環境ですから、「既存の業務に加えて紹介活動を行うのは難しい」というのが現場の状況です。そのような状況で大切になるのが、今までの業務を進める上で生じる顧客との接点(コンタクトポイント)で行う活動になります。

下の図は自動車販売における顧客とのコンタクトポイントです。このコンタクトポイントの中で、CSを上げ、紹介につなげていくことが大切です。注意すべきは、全てのコンタクトポイントでCS向上のレベルを上げようとするのは、企業側、従業員側にも無理があるということです。顧客にしても、店側が相当頑張って実現しているレベル5が当たり前になってくるので、次の評価は下がるしかなくなってしまいます。

顧客とのコンタクトポイント

まとめ

限られた時間の中で、CRV(顧客紹介・口コミ価値)を推進していくためには、注力すべきコンタクトポイントを指定し、そのコンタクトポイントで実行するべき内容を会社のルールとして徹底していくことが、企業側の大切な取り組みといえます。次回3回は、能動的な口コミや顧客紹介を得るための活動について説明します。

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WRITER筆者

MBA CROWDSOURCING 編集部