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税務 × コンサルティングで提案力を高める!(前編)

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10年前だったら月額10万円以上だった税理士業務を、今では月額4万円以下でも引き受ける税理士事務所が増えています。帳簿付け代行や月次の残高試算表を作成する月額料と、税務申告で追加費用をもらうビジネスモデルでは、収益の低下が避けられません。まず前編では、税理士業務の収益性が低下している背景を整理したいと思います。

人工知能の発達

英オックスフォード大学でAI(人工知能)などの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授が、2014年に同大学のカール・ベネディクト・フライ研究員とともに著した『雇用の未来―コンピューター化によって仕事は失われるのか』の論文が世界中で話題になりました。同論文が衝撃を与えた理由は、米国労働省のデータを用いて、702職種が今後どれだけコンピューター技術によって自動化されるかを詳細に分析したからです。論文では、すさまじいスピードでコンピューターの技術革新が進み、これまで人間でないとできないと思われていた仕事がロボットなどの機械に代わられる可能性を述べています。

皆さんは、「シンギュラリティ」という言葉を聞いたことがありますか。

これは、どういう意味かというと、AIが人間の能力を超える「技術的特異点」のことです。2045年にはAIは人間の能力を超えるといわれています。一部の米国の研究者からは、2035年には超えるのではないかともいわれており、来たるべき時代はもう間近に迫っていると主張する研究者もいます。

コンピューターが人間の能力を超えると何が起こるのでしょうか。

最も多くの研究者が言っていることが、冒頭で述べた「消える職業」が大量に発生することです。コンピューターが得意な作業である、データ処理やルールが決まっていてその通り実行すればよい仕事は、完全にコンピューターに置き換わるといわれています。コンビニのレジ係のような仕事だけでなく、税理士、銀行の融資担当者も消える仕事に挙げられています。

単純作業は既にアプリケーションにかなわない

代わられる仕事の筆頭といっても過言ではないのが、士業です。具体的には、行政書士、公認会計士、司法書士、社会保険労務士、税理士、通関士などです。

弁護士や司法書士は、過去の判例や法律を参照するために膨大な時間を使います。公認会計士や税理士は、会計基準や税務会計、税法等に基づき、決算書を作成するために膨大な時間を費やします。社会保険労務士は、労働基準法や雇用保険法等に基づき就業規則の作成や社会保険料の算定を行います。

AIが得意とする分野は、過去のデータを収集したり、データを解析することです。データの処理スピードと正確性、データから共通点を見つけることは、AIが最も得意とする分野です。これらの業務をこれまでの士業が行う価値は今後ますます低下していくでしょう。

freeやMFクラウド会計などクラウドサービスの登場により、従来のインストール型アプリケーションからクラウド型会計ソフトへの移行が加速しています。会計データがクラウド化されることで、AIによる自動仕分けが効果的になりました。今では、領収書や銀行取引の通帳、インターネットバンキングの明細などをアプリケーションに読み込ませれば、精度にまだ課題はあるものの自動的に仕分けをしてくれます。小規模企業であれば、確定申告はアプリケーションで事足りてしまうかもしれません。

Fintech系のベンチャーでは、AI(人工知能)によって財務諸表から経営分析を行い、財務面の会社の課題を抽出するサービスがすでに商用化されています。非定型的な業務や、作成書類の最終確認は税理士のチェックが必要ですが、税理士が提供できる付加価値は、今後ますます減少していくのではないでしょうか。

 税理士が生き残るためには?

日本企業の課題は、GDP(国内総生産)が低迷していることからも分かるように、売上が低迷していることです。大企業でも例外ではありません。少子高齢化による人口減少や世代間の貧富の格差がさらに拡大する将来において、企業は売上を拡大することにこれまで以上に注力する必要があります。

このような時代において、税理士が生き残るために必要なことは、中小企業への付加価値(提案力)を高めることです。

税理士業務の多くは、費用を扱うことが圧倒的に多いため、コスト削減に目が行きがちです。コストを削減して利益を出す方が、売上を拡大して利益を出すより短期間に行いやすいという理由もあります。税理士事務所にとって、売上については、帳簿を付ける以上の価値提案をすることがなかなか難しいのが実情です。しかし、売上拡大への提言こそが人に求められているニーズなのです。

なぜなら、コンピューターが苦手とする人間の能力は、答えのない課題を解決することだからです。

答えのない課題をAIが苦手にする理由は、過去の膨大なデータや決められたルールから共通点や特徴を抽出しても、売上は時代の変化などによってそのまま実行しても効果が出ないからです。データ処理はそれを得意とするコンピューターに任せ、人はそれをどのように活かしていくのかを考えることが重要です。税理士の「考える力」がまさに発揮できる場面は、財務諸表に基づいた分析から経営課題を抽出して、それを改善するための具体策を提案することだといえます。

まとめ

中小企業の経営者は、税理士が経営コンサルタントをすることに対して肯定的な意見を持っています。企業の財務に関する重要情報を預け、資金繰りや帳簿の管理、銀行との交渉を税理士に任せることになるため、経営全般についてアドバイスを受ける相手として税理士は申し分ない存在だといえます。

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WRITER筆者

MBA CROWDSOURCING 編集部