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税務 × コンサルティングで提案力を高める!(後編)

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前編では、税理士業務の単価が減少している背景について書いてみました。人工知能(AI)やアプリケーションの登場により、ルールを参照して行う業務は人工知能に置き換わっていきます。付加価値が低い業務は人工知能に任せ、税理士は中小企業への提案力を高め、サービスの付加価値向上を図る必要があります。後編では、税理士が提案力を高めるべき領域や、クラウドソーシングで外部のコンサルタントを活用するメリットを考えてみます。

税理士がコンサルティングを行うメリットと課題

税理士は毎月の試算表や法人税や事業税など、財務面で中小企業経営者から信頼されているパートナーです。中小企業経営者から信頼を得ていることは、コンサルティングを行う上で大きな強みになります。他の士業であれば、中小企業経営者に財務諸表を開示してもらうところから信頼関係を築かなければなりません。税理士は経営者と継続的な関係を築くことができるため、付加価値を高めるためこの関係性を活用しない手はないといえます。

税理士がコンサルティングでまず行うべき分野はどこでしょうか?

多くの税理士は、コスト削減について経営者からアドバイスを求められた場合、試算表に基づいて売上高に比べて棚卸資産や有形固定資産が過剰であるなどのアドバイスをすることは容易ではないでしょうか。また、単体の損益計算書であれば、13項目ある科目を見れば、売上原価、販管費、営業外費用のどの段階で利益に対して悪さをしているのか判断することも容易です。会社の試算表を毎月作成している税理士事務所であれば、時系列で業績の変化を見ることができます。

反対に、税理士がコンサルティングで不得意にする分野はどこでしょうか?

筆者の周りの税理士の多くは、売上を拡大するための施策を提言することに苦労しています。もちろん、売上拡大をするためのマーケティング施策や営業力の強化策は、税理士の業務範囲ではありませんが、中小企業の経営基盤を強化するために、売上高を拡大することは中小企業にとって必要不可欠です。平成24年度の中小企業白書に掲載されている「経営基盤の強化に向けて注力する分野」への回答を見ても明らかです。実に、4人に3人の中小企業経営者(74.4%)が「営業力・販売力の強化」を課題に挙げています。

経営基盤の強化に向けて注力する分野(複数回答)

経営基盤の強化に向けて

経営コンサルタントである筆者の立場からすると、税理士ほど中小企業の経営者に提言をしやすい立場の専門家は他にいないといえます。

 クラウドソーシングを活用する税理士が増加

税理士が財務面以外のコンサルティングをするための課題はどこにあるでしょうか。税理士が経営コンサルティングをするには、一定の業界について強みがあると判断してもらえるだけの知識や経営、人脈などが必要になります。また、経営能力や会計システムに関するスキルなども必要です。

この人に任せれば話がまとまるとか、この人のアドバイスを取り入れれば成功するなどと経営者に思ってもらえなければ、経営コンサルティングの業務は成り立ちません。

経営コンサルタントとしてのスキルや知識を得るためには、経営大学院(MBA)で経営学を学ぶビジネスマンや、国家試験である中小企業診断士を目指す税理士もいます。ただ、このようなキャリアアップに時間がかかりますし、何より税理士業務を中断し、経営者との関係が切れてしまうといったキャリア中断のデメリットがあります。

こういったデメリットを避けるために、クラウドソーシングを利用する税理士が最近増えています。大手のクラウドソーシングサービスには、MBAホルダーや中小企業診断士も登録しているので、10万円からコンサルタントに経営診断や改善策の提案書作成を依頼できます。

例えば、税理士は月次試算表を作成するので、これらの財務データを用いて、経営課題の抽出と重要経営課題を設定します。さらに提案の付加価値を高めるために、クラウドソーシングでコンサルタントを活用して、どのようにすれば経営課題が達成できるか、また売上拡大のためのマーケティング施策や販売力強化を共同で提案することができます。税理士は、顧問をしている企業と継続的な付き合いがあり、同社の状況や社長の気質などについてさまざまな情報を持っているため、コンサルタントの提案を行いやすい立場にあります。

中小企業診断士とMBAホルダーの得意分野を知ろう

コンサルティングのパートナーとしてMBAホルダーや中小企業診断士を活用する税理士が増えています。コンサルタントによって、出身業界や専門分野が異なるため、クライアントに合致する業界の人材を選定することが大切です。クラウドソーシングを利用する場合は、コンサルタントに専門分野について質問し、得意分野やコンサルティングの実績を確認しましょう。

税理士がコンサルタントを選定する際の参考のために、中小企業診断士とMBAの違いをまとめてみました。

中小企業診断士とMBA

筆者が考える大きな違いは、中小企業診断士は中小企業のコンサルティングを行うことがゴールの資格ですので、コンサルタントとしては、経営に必要な分野を広くカバーしています。また、中小企業が活用できる補助金制度や国の中小企業政策に精通しているため、資金繰りについて的確なアドバイスが行えます。このような特徴がありますので、クライアントの課題が明確ではない場合は、中小企業診断士を活用することで会社の課題を特定することから始めるのが有益です。

一方、MBAホルダーは中小企業診断と比較して特定分野について深い知見があります。また、経営者・起業家を養成するためのカリキュラム構成になっているため、議論や実践力に長けた人が多く、提案書の作成などアウトプットに優れた人が多いのが特徴です。クライアント企業の課題が特定できている場合は、または提案力が必要な場面ではMBAホルダーに仕事を依頼することが有益です。

まとめ

税理士の提案力を高めるために、クラウドソーシングを活用する税理士が増えています。コンサルティングのパートナーとして、中小企業診断士やMBAホルダーの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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WRITER筆者

MBA CROWDSOURCING 編集部